合金は粗悪品にあらず
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今回のテーマはサンデーで新連載の「聖結晶アルバトロス」から。
いつもどおり説明が面倒なので、とりあえずサンデーを買ってください。
以下、最初のモノローグより引用。
今じゃないある時、ここじゃないある世界で、とても大きな力を持った石がありました。
その意志の力は限りなく大きく、強く、「世界」はその石の光で満たされ、光り輝いていました。
ある日、その石が砕けました。
「世界」は崩れました。
砕けた意思はとてもとても遠く遠くへ飛び散りました。
遠く遠く・・・・・・
私たちの近くの場所へ。
次に、扉のアオリから引用。
その「お姫様」は未知なる異世界からやってきた―――
世界を支配するパワーの源、「聖結晶」を巡る熱血バトルファンタジー開始!!
というお話です。
そして、この扉の背景に周期表があります。
そしていきなり間違っています。
一回目にこれでいいのでしょうか。
一箇所Mdであるべき場所がMbになってるのは誤植なのでしょうか。
まあ、そこを抜いてもランタノイドをアクチノイドの位置が極めておかしいので、もしかしたら、異世界というのは原子の構造すら異なっているのかもしれません。
しかし、それを言っては話が進まないので、元素は同じ特性を有するものとして話を進めます。
バトルファンタジーなので、敵は怪物です。
この漫画では、モノバイルと言われています。
純度が云々言ってますので、モノは「単」だと思うのですが。
多分純物質とかそんな意味じゃなかろうかと。
で、今週の怪物は、チタンのモノバイル。
この怪物、メガネフレームを食って、純度の低いチタンとのたまいます。
ところが、メガネフレームのチタンって結構純度高いんですよ。
99.9%くらいはあるはず。
この純度で満足できないってのは、相当食にこだわりがあるようです。
ところがよく考えたら、コイツ眼鏡をレンズごと食ってます。
ガラスレンズ(主成分SiO2)かプラスチックレンズ(アクリル系有機化合物、炭化水素)にせよ、チタンではありません。
しかもガラスレンズならフレームより重いこと請け合い。
そりゃ純度50%じゃ満足できませんよね。
ただのバカでした。
よく学校の教師に成りすませたと思います。
しかも理科。
で、チタンを食わなきゃ活動できなさそうなんですが、チタンって高いんですよ。
鉄なんかに比べたら、10倍以上します。
理科の教師ならチタン粉末でも適当に買えばいいのですが、とうぜん学校の予算で買ったものを食べるわけには行きません。
自腹で買ってるか、実験で使った廃棄分を食ってるのでしょう。
さて本題。
この怪物、チタニウムスパイクという技を使います。
チタンを固めて吐き出す、それだけが取り柄というちょっと悲しい怪物です。
さて、その攻撃、チタンを針状にして飛ばすという実に単純なもの。
そのサイズ、実に直径20cm長さ2mはあろうかという代物。
しかし、前述のとおりチタンは高いです。
しかもこいつは高純度というか、純チタンを撃ってるはず。
チタンの値段は99.9%の粉末でお値段なんとグラム100円。
なので、チタニウムスパイクは1本2500万円です。
そしてこの技における最大の欠点。
純チタンって軽くてやわらかいんです。
チタンは軽くて丈夫といいますが、鋼の半分の密度で、半分の強さだったりします。
つまり重量あたりの強さ、比強度はほぼ同じ。
ちなみに、アルミはさらに軽く、さらに弱くで、やっぱり比強度はそこまでかわりません。
では、なぜチタンが軽くて丈夫というのか。
それは、合金にした場合のことなんです。
一般には6%アルミニウムと4%のバナジウムとチタンの合金、Ti-6Al-4V(64チタン)がよく用いられています。
こちらは鋼の半分の密度で、鋼より強かったりします。
また、炭化チタン(チタンカーバイド、TiC)なんかは工具に使われるほど強いです。
TiCは炭化タングステン(タングステンカーバイド、WC)と共に超硬合金とか言われてます。
※日本ではTiCはサーメットと呼ぶことが多いですが。
ですが、純度の低いチタンは嫌いなこの怪物のこと。
こんな合金や炭化物を使うはずがありません。
せっせと高い純チタンを撃ちだしてくれるのでしょう。
こいつ飼っておけば、純度の低いチタン食わせるだけで純チタンが得られて大もうけです。
さて、武器として不適格理由の続き。
チタンって軽いんですよ。
鉄の半分ですね。
極太の針を撃ち込むんですから、その速度と重量がダメージに直結します。
同じ速度で打ち込むなら、重いもののほうがダメージは大きいですね。
素直に安い鋼鉄をぶっぱなすほうが大ダメージなんですよ。
そして、やはり鉄のほうがいい理由があります。
この怪物、「オレの針は自由に操れるんだ」とさっき吐き出すだけが取り柄といってたのを即撤回。
でも、チタンって糸でもついてなきゃ操れません。
なにせ磁石にもくっつかないので、自由に操るのは至難の業。
素直に鉄に磁性を持たせて磁石で飛ばすほうが操りやすいんじゃないかと。
まあ、実は撃ち出した針から細い糸がつながってるのかもしれませんが。
というわけで、素直に鉄でも撃っとけ。
安いし硬いし操りやすいといいこと尽くめ。
結論。
純度にこだわるだけじゃ意味はありません。
ちゃんと化合物にも目を向けましょう。
次週以降も新たな純金属モノバイルが出るのでしょう。
彼らには是非とも合金になって欲しいところです。
金属ではないですが、炭素なんて単体では微妙なところ。
やはり炭素の本領は有機化合物としての多彩さではないでしょうか。
武器としてはダイヤでいいような気もしますが。
ダイヤ装甲のモノバイルとか、死体が高く売れそうですね。
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