誰もが思いつくのに実行されない魔球

ジャンプで連載中のMr.フルスイング。
魔球やら変な技の飛び交う、80年代の野球漫画を髣髴とさせる野球漫画ですが、今回も新魔球の登場です。
この球、思いっきり高く投げ上げ、急角度でピッチャーのグラブに突っ込む実際には見ないのに割とありがちな魔球です。
名前は天竜。
果たしてこの球、打ちにくいものなのでしょうか。
紙面に分度器あてて計ってみたところ、おおよそ60度の角度で落ちてます。
そしてキャッチャーミットに「ズドォン」という音を立てて収まっています。
さて、ここからは計算を簡単にするため、空気抵抗を無視して考えます。
物体の投げ上げなので、球の軌道は放物線を描きます。
簡単に書くとこんな感じ。
で、60度でキャッチャーミットに収まるので、やっぱり投げる角度も60度ですね。
んで、マウンドからホームベースまで18.44mらしいので、キャッチャーまで19mとしましょうか。
すると高校1年生で習う放物線の投げ上げで式立てれば速度が求まりますね。
結果:40.7km/hで60度方向に投げ上げると、2.59秒後に、60度の角度でキャッチャーミットに収まります。
いやいやいや、これ遅すぎないか?
どー考えてもズドォンなんて効果音にはならないぞ?
ちなみに、最高到達点は8.23m。
二階の天井くらいなのでそこまで高くはないですが、ピッチャーの投げる球ではないですね。
しかしどんな急角度でも所詮40km/h、ピッチャーフライでももっと早いです。
おそらく余裕で打ち返せるのではないでしょうか。
というわけで、ズドォンと音のなる速度を考えて見ましょう。
この際60度ってのは無視です。
高校生の剛速球ということで150km/hほど出てると考えます。
すると、150km/hでミットに収まる角度は88.17度。
これは急角度ですね。
というかほぼ直角じゃないですか。
頭上から落ちてきた植木鉢を打ち返すのとなんら変わりない反射神経が必要なわけで、こちらは打ちにくそうです。
最高到達点は148m。
投げ上げてから落ちてくるまでの時間は11秒。
こちらだと飛竜という感じですね。
でもこの球って盗塁し放題ですね。
ピッチャーの投げた球がキャッチャーに届く前に3塁ランナーがホームベースに戻った場合、野球のルールはどうなってるのでしょうか。
塁間距離は27.4m、100m14秒の人でも4秒あれば走れます。
足が速ければ1塁ランナーがホームインできるんじゃなかろうか。
こんなもんあれだ、投げたと思ったらランナー猛ダッシュ&ホームベース前で待機。
そしてバッターはバントだ。
それも普通のバントじゃなく、キャッチャーとピッチャーを結ぶ線上に、キャッチャー側を上げ、ピッチャー側を下げて構えるバントだ。
んで当たったらランナーホームイン。
空振りしたらホームスティールだ。
さて、60度を守って超スローボールを投げてあっさり打たれるか、下記のようなバント作戦で敗れるか。
果たしてどちらが選択されるでしょうか。
さらにもうひとつの問題が。
この球、ストライクゾーン通ってキャッチャーミットに入るのか?
60度で収まる場合、おおよそ1.6mから0.8mの高さでストライクゾーンを通るので、一応大丈夫じゃないかと思います。
88度の場合はワンバウンドでとるか、ベースまで手を出すか。
どっちにしろ小学生でも打てる球か、ホームスチールし放題の球か、どちらかなのですが。
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