磁石ってのは鉄とは反発しないのですよ?
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ジャンプで新しく始まった漫画、カインにツッコミを。
この世界には自分の体に「鬼傀(きかい)」を埋め込んだ、機道士というのがいます。
主人公カインもその一人で、磁力を操る機道士らしいです。
早い話が全身電磁石男なのですが、それにしても色々とはっちゃけすぎなのです。
まず初登場シーン。
いきなり塔の最上階の壁に刺した丸い横棒に足をくっつけてます。
これはおそらく足が磁石になっているのでしょう。
靴のあたりにそれっぽいオーラが漂ってるのが見て取れます。
この接触面積は30cm2くらいでしょうか。
ネオジウム磁石なら25cm2でも厚み次第で80kgのものをぶら下げられます。
なので、重さ的には大丈夫。
なお、ネオジウム磁石は表面磁束密度が500mT程度まで出ます。
素人の作る電磁石では50mTも出ませんのでなかなかいい感じです。
しかし、最先端の電磁石では10Tクラスのものがあるので、形状しだいで1600kgくらいは支えられるのではないでしょうか。
単に磁束密度の比を取ってみただけですが。
で、それはいいのですが、その姿勢が問題。
思いっきり体が水平になって、下を見ているのです。
磁石でくっついているのは足だけ。
つまり、普通に考えれば足を中心に回転し、下の階の壁に頭をぶつけるわけです。
そんなのが初登場では浮かばれまい。
というわけで、なんで回転しなかったか。
これはもう背筋で支えてたとしか。
カインはこの状態で地図を描いてましたが、そんなことするなら塔の屋根に座って書くべきでした。
もしくは丸い横棒じゃなく、四角いもの、もしくは板に足をつけるべきでした。
いや、それでも膝が壊れそうな気がしますが。
出来ると言う方は、誰かに足首を支えてもらって体をまっすぐに伸ばして水平にし、下を見て文字を書いてください。
さて、登場シーンでいきなり足が折れるか頭をぶつけるかという状況に陥った主人公。
しかし彼はさらなる災難に(自ら)巻き込まれるのでした。
悪徳領主ゴガイ(砲の鬼傀を持ってる人。ハンドバズーカとでもいいましょうか)の部下との戦いに際してカインが取った戦い方。
それは、二つ並んだ鉄の巨像の片方に乗り、もう一方を磁力で吸い寄せて落とすというもの。
さて、磁力が強ければこんなことが出来るのか、ちょっと考えて見ましょう。
像はおそらく対です。
持ち上げたときの絵とかが同じ形ですので。
すると、同じ重さで、同じように設置されてたのでしょう。
その片方にくっついて、もう一方の像を引き寄せたのです。
すると、そこには作用反作用の法則が。
作用反作用ってのは、簡単に言うと、力を与える物体は逆に力を受けているというもの。
たとえば机を指で押さえると、逆に指は机に押されている、てな感じです。
んで、この像の話では、カインが像を引っ張るなら、像はカインを引っ張るわけです。
そこで問題になるのが重さ。
重いものほど動かすのに力が要ります。
像の重さは同じで、カインの重さなど無視できるほど重そうです。
鉄製ですし。
すると、カインのくっついてる像と、引っ張られてる像はほぼ同じ重さですね。
当然どちらが持ち上がるということなく、下の状態に。
物理法則に従うとこんな目にあいます。
もちろん重たい鉄の像。
ひとたまりもありませんね。
こうならない条件は以下のとおり。
1.実はカインのくっついてる像のほうが数倍重い。
先に右の像を作ったら、材料が足りなくなったのでケチって中空にしたとか。
2.実は右の像だけ土台工事がしっかりしてる。
予算不足で左の像は置いただけ。右は足の裏にスパイクがついてて、刺さってる。
さて、運良く手抜き工事のおかげで圧死は免れたカイン。
しかしそこに待ち受ける次なる悲劇。
頑張って片方を持ち上げました。
足は右の像にくっつき、左の像が、手の磁石に吸い寄せられて徐々に持ち上がっていきます。
胴体がまっぷたつに裂けるんじゃないかこれ。
ラーメンマンにキャメルクラッチをくらった初代ブロッケンのように。
早い話が、足を固定し、像の重さで手を引っ張られてるわけです。
数10tにもなりそうな鉄の塊、こんなものぶら下げたら胴がちぎれるか、腕がもげるか。
しかし不屈の闘志で持ち上げました。
おそらく手がSで足がNまたはその逆になっているのでしょう。
すると足にくっついてる右の像はS、手にくっついてる左の像はNですね。
ある程度近づくと今度は像同士がくっつきます。
当然のごとく間にいるカインはぷちっと。
磁石の吸引力は近づけば強くなるので、像が近寄るごとに加速するのです。
そして最後にはものすごい勢いでプチっといっちゃいます。
まあ、像の重さでも千切れない体。
つぶされても像が100体乗っても大丈夫なんでしょう。
艱難辛苦を乗り越えてついに像を落としたカイン。
しかしここでも彼は微妙な行動を。
さきほど全身電磁石と書きました。
電磁石ってのは流す電流の方向を逆にすれば、S極とN極が逆になります。
さて、像を持ち上げるときにカインは「磁極総開放『引』」と言いました。
そして落とすときに「磁極転換『斥』」と言っています。
相手(像)が磁石ならそれでいいんですよ。
でも、相手は鉄なんですね。
磁石がN極であろうがS極であろうがくっつくんですよ。
つまり、「引」の状態で引っぱりあげます。
で、そのまま磁石を切れば落ちるんですね。
でもこの人磁極転換しました。
おそらく電流を逆向きに流したのでしょう。
するとどうなるか。
電流を逆向きにながすのですから、電流を減らして0にし、反対側に増やしていくわけですね。
電流がへり、ある程度まで減ると像の重さを支えられなくなり、重力で落ち始めます。
そして反対側に流れ出すとまた引っぱられ、重力を超えると戻ってきます。
そして近寄ると加速し、そのままも一回プチっと。
この人一回悪を滅ぼすのに、何回自滅すれば気が済むんだ。
その後、像を磁石に変えて、雑兵のもってる弩とかをくっつけて没収。
ボスの裏に立っている像を磁石に変えて鬼傀ハンドバズーカをくっつけて拘束。
超磁気とやらで破壊します。
一つ目の雑兵に関しては、鉄の像に触ってるので磁石になるのはわかります。
像でつぶした意味がわかりませんが。
んなことできるなら最初からやりましょう。
でも、ボスのときは触れてません。
糸っぽいのを繋げてるので、それで電流か磁束を流したのでしょうか。
そもそもこれだけの磁束密度を作れる電磁石のそばにある電子機器は役に立たない気がします。
どうやって必要な電力を得ているのか。
というわけで連載一回目から散々なわけですが、これも愛があってこそ。
どこかで見たようなストーリーですが、少年漫画の王道でしょう。
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